ブレードランナー

ここのところ,ファンタジー(しかも邪道系)ばかり読んでいたので,久しぶりに映画「ブレードランナー 最終版 [DVD]」の原作,アンドロイドは電気羊の夢を見るか? (ハヤカワ文庫 SF (229))を読みなおしました.

 数年前には気づきませんでしたが,映画と小説で表現は違うものの,映画も小説も「伝えたい内容」は驚くほどきれいにシンクロしています.これなら,たしかに訳者の浅倉久志さんがあとがきでディックを絶賛しているのも納得できます.現代人が,そしてその子らが持つであろう悩みをこれだけ明快な形で書ききった作品はそう多くないでしょう.

 人間と人間性,魂と心,普通の作品ならこれらを人間性と非人間性,魂持つものと魂持たざるものという対比で書いてしまうところを,「人間に人間性を与えているものは何か」という核心に直接攻め込んできます.映画を見た後に,改めて読んでみることをお勧めします.