魔法の国ザンス第2シーズン

第2シーズンに入ってから,妙に手に取りづらい表紙になったような気がします(特に11巻).まぁ,それはどうでもいいんですが.

 新シーズンスタートの10巻だけはちょっと方向性が定まらない感じが否めませんが,11巻からは快調にザンス節をすっ飛ばしています.今シリーズもテーマは『ラブ』.第1シリーズよりもロマンスを前面に押し出してきていますが,ほかの部分(駄洒落とか駄洒落とか駄洒落)も快調です.

 夢馬の使命 魔法の国ザンス 6 (ハヤカワ文庫FT) でも少し触れられていましたが,最近の巻では「ザンスにおける女性の権利」について触れられる箇所が増えてきていて,アメリカの世相を感じさせます.

悪魔の挑発―魔法の国ザンス〈10〉 (ハヤカワ文庫FT)

悪魔の挑発―魔法の国ザンス〈10〉 (ハヤカワ文庫FT)

クォーターオーガのエスク,ハーフセントールのチェクスなどザンスの人種(?)問題を鋭くえぐる問題作……ではありません.いつも通りのザンスです.

王子と二人の婚約者―魔法の国ザンス〈11〉 (ハヤカワ文庫FT)

王子と二人の婚約者―魔法の国ザンス〈11〉 (ハヤカワ文庫FT)

本当に手に取りづらい表紙だった! 表紙通り,子供たちが主人公ですが,なかなか一筋縄では行かない展開になっています.オチも引きっぱなしですが,骸骨人間のマロウがとてもいい味を出しています.

マーフィの呪い―魔法の国ザンス〈12〉 (ハヤカワ文庫FT)

マーフィの呪い―魔法の国ザンス〈12〉 (ハヤカワ文庫FT)

「素のままの自分を愛してもらいたい!」という誰もが持っている欲望も,王女の抱える問題となると話は別です.もちろん,ザンスシリーズですから,最後はめでたしめでたしで終わるのですが.主人公グレイ・マーフィー君が本当にかわいらしいです.しかし,ちょっと不安になるタイトルですよね.いや,グレイにエディという息子 or 弟ができたらどうしようかと……(逃

セントールの選択―魔法の国ザンス〈13〉 (ハヤカワ文庫FT)

セントールの選択―魔法の国ザンス〈13〉 (ハヤカワ文庫FT)

ザンスでもマンダニアでもない『さらなる異世界』から来た謎の少女ジェニーと猫のサミーが登場.エンディングでは 王子と二人の婚約者―魔法の国ザンス〈11〉 (ハヤカワ文庫FT) で引きっぱなしだったドルフ王子の三角関係がようやく解消して,ようやくすっきりとした気分になれました.悪霊の湖に捕らわれた平均的読者としては×××よりも×××××のほうを応援しているところですからね,気分爽快です.

魔法使いの困惑―魔法の国ザンス〈14〉 (ハヤカワ文庫FT)

魔法使いの困惑―魔法の国ザンス〈14〉 (ハヤカワ文庫FT)

第3章のタイトルを読んで思わず吹き出してしまいました.

 それはそれとして,本作は本シリーズのレギュラー「情報の魔法使いハンフリー」の半生記という体裁を取った,「これまでのあらすじ」にあたる巻です.もちろん,ザンスシリーズですので,単なるまとめに終始することなく,新たな謎やシリアスな問題への問いかけ,そして駄洒落をふんだんに含んだ良い1冊です.まとめになっているので,第2シーズンから読み始める人にはちょうどいいかもしれません.

ゴブリン娘と魔法の杖―魔法の国ザンス〈15〉 (ハヤカワ文庫FT)

ゴブリン娘と魔法の杖―魔法の国ザンス〈15〉 (ハヤカワ文庫FT)

主人公(級)キャラクターがたくさん登場するためちょっと混乱しますが,登場キャラクターもお話も魅力的な巻です.巻末の解説が谷山浩子さんなのもグッド!

魔法の国ザンス(16) ナーダ王女の憂鬱 (ハヤカワ文庫 FT)

魔法の国ザンス(16) ナーダ王女の憂鬱 (ハヤカワ文庫 FT)

同名のPCゲームがあるためか,巻頭の地図がこれまでで一番詳しい巻.ややこしいザンス(フロリダ)の地理を復習するのにもってこいです.