レンズマン・シリーズ

いわずと知れたスペースオペラ時代を代表する傑作.シリーズものであること,また,(田舎者には)入手困難だったこともあり,長いこと手をつけずにいたのですが,昨年,柴野拓美氏による新訳が出たので,ようやく重い腰を上げて読むことにしました.

読んで後悔しました.もっと早くに読んでおくべきだった.なぜなら,レンズマン・シリーズには,私がマルペ(ペリー・ローダン・シリーズ)に求めていた全てのエッセンスが揃っており,しかもそれらが,凝縮された薄められていない生のままの状態でそこにあったからです.

スター・ウォーズを上回る壮大なスケールと,魅力的なキャラクター群,スペースオペラがともすれば陥りがちな男性偏重のテイストをあえて避けたエンディング,どれをとっても一級品です.まだ,シリーズ7冊中の4冊しか読んでいないので,先(作品中の時系列的には前,かな?)が楽しみです.

銀河パトロール隊―レンズマン・シリーズ〈1〉 (創元SF文庫)

銀河パトロール隊―レンズマン・シリーズ〈1〉 (創元SF文庫)

グレー・レンズマンことキニスンの誉れ高き初陣の話.シリーズ2作目の「グレー・レンズマン」と並んで,シリーズの「男性的な」側面を担っている.

グレー・レンズマン―レンズマン・シリーズ〈2〉 (創元SF文庫)

グレー・レンズマン―レンズマン・シリーズ〈2〉 (創元SF文庫)

前作で倒した敵の背後に居る,より強大な敵と戦うため,グレー・レンズマンことキニスンがマスターから強力な力と仲間を授かる話.また,キニスンと後にレッド・レンズマンと呼ばれるようになるクラリッサとのラブ・ストーリーでもある.

第二段階レンズマン―レンズマン・シリーズ〈3〉 (創元SF文庫)

第二段階レンズマン―レンズマン・シリーズ〈3〉 (創元SF文庫)

グレー・レンズマンが,強大な精神力を操る敵を打ち倒して生涯の伴侶を得る話.体力と気合いで敵を粉砕するキニスンと対照的な3人目の仲間,謀略と諜報で100万艦隊に匹敵する戦果を挙げるパレイン人のナドレックが登場する回でもある.

レンズの子供たち―レンズマン・シリーズ〈4〉 (創元SF文庫)

レンズの子供たち―レンズマン・シリーズ〈4〉 (創元SF文庫)

キニスンの子供たちとその母親が,3作目で倒した敵の黒幕を討ち倒す話.1作目,2作目がマッチョなスーパーマン,キニスンの汗まみれの活躍に焦点を当てているのに対し,この4作目では,ひたすらナドレックと「母親」が活躍する「女性的な」話になっている.