パーンの竜騎士 外伝2・3 〈モレタのバラード〉とその裏話

週末はパーンの竜騎士の外伝2話目「竜の貴婦人」と3話目「ネリルカ物語」を読んでいました。外伝1は入植期のパーンを扱ったストーリィでしたが、今度は400年前のパーン、つまり、本編の1つ前の接近期の終わり頃が舞台の物語です。

 ずっと糸胞という外世界からの脅威と戦ってきたパーン人ですが、今回の相手は違います。突如訪れた伝染病の脅威、そしてそれに敢然と立ち向かうフォート大巌洞の洞母モレタの活躍と悲劇が外伝2のメインストーリィになっています。このモレタさん、これまでの女主人公たちと違ってとにかく明るく俗っぽい。人生を謳歌してきた雰囲気が漂う、アン・マキャフリィにしては異色のヒロインです。もちろん、悲劇的なラストのためにそういう性格に設定されたのでしょうけど、旨い酒に目がなかったり、30代の女盛りを謳歌していたりと読んでいて楽しいキャラクターです。個人的には、ツンデレな性格の療法師の女師補デスドラさんがいい味を出していると思っています。

 外伝3はその外伝2の裏話。外伝2で登場したネリルカという女性の目を通して見た伝染病事件の有様が描かれています。こちらの女主人公ネリルカはとにかく耐える人。マキャフリイの本領シンデレラストーリーの女主人公を地で行く人です。外伝2・3はセットになっている話なので、ぜひまとめて読むことをお勧めします。外伝3を読んだ後に外伝2を読み返すと、意外な伏線が張ってあったりして、2度おいしいですよ。