よいマスタリングと語り口


誤謬と誤認こそがコミュニケーションの本質である、と断じてもよい。故に我々は、常に想像力と知性をもって、相手の発言意図を推し量らなければならない。
(コミュニケーションにおける推量は困難な作業であること。従って、発言者は発言意図を理解させようとする不断の努力を怠ってはならない。したがって)「論理的に正しい内容を喋っていればどんな態度でも相手は聞いてくれて理解してくれる」という独善的態度は慎むべきである。
これらの誤謬の確率を減らすにはどうすればよいか。
相手に好意を持たせることである。相手の目を見て、発声を正しくし、平易な言葉で、相手と同じことばを使い、礼儀正しく語ることが大切である。
どれほど理論が正しくても、語り口が正しくなければ、聞き入れてはもらえない。
マスタリング講座として、プレゼンテーションや会議の運営などコミュニケーション全般に係わる内容を取り上げたテキストはあまり多くありません。その理由のひとつは、そうした一般的内容を取り上げることでテキストが説教臭くなってしまうことだと思います。多くのRPG経験者は、テキストが説教臭くなることで、対象としている若い読者たちがテキストを読まなくなることを恐れるのでしょう。しかし、それでもこうした『心得』を説いた文書があることは大変重要なことだと思います。誰かが1歩前進したいと思ったとき、そこに道しるべが用意されていれば、彼は自分が一人でないことに安堵できるのです。