Ku-on 風の春河

昨日は夕方から、妙堅寺という実家から少し離れたお寺に行って民族音楽のライブを楽しんでまいりました。

 会場について最初にしたのはライブ会場脇に設けられた仮設食堂での腹ごしらえ! モンゴルからの出演者がいるということで、会場ではモンゴル風ピザと馬骨スープを売っていました。これが意外にもとても美味しい! 柔らかく煮込まれた馬骨が絶品でした。

 さて、腹ごしらえを済ませたら、ライブ会場に移動し、最前列中央を陣取ります。皆さんシャイなのか後ろの方の席から埋まっていき、結構後に会場入りしたにも関わらず、良席をゲットすることができました。

 いよいよ、前半戦、第1部が始まります。

 最初の出演者は弟子屈から来た仙人のような外見が特徴的なアボリジニ音楽の城 正明さん。釣りが趣味という方で、釧路湿原の乾燥化対策について熱心に語られていました。私も知らなかったのですが、新釧路川はもともと湿原干拓のために設けられた放水路で、これを放置したまま上流だけをいじる現在の政策では、釧路湿原の乾燥化を防ぐことはできないそうです。
 城さんの楽器はディジュリドゥというユーカリの木の中にシロアリが空洞を作ったものを削りだして作った民族楽器。本当にただの筒で、これに息を吹き込んで演奏するのですが、吹き方に特徴がありまして、息継ぎをしない独特の奏法で演奏します。もともと雨乞いに使われる楽器というだけあって、独特の低い、吼えるような印象的な音色を醸し出していました。

 第2の出演者は北見から来たモンゴル音楽のコロロン・コロワさん。ピンクのドレスが似合うグラマラスなモンゴル美女です。シャンジャというモンゴル三味線は蛇の皮と思しきもので彩られた三味線で、コロロンさんはこれを竹のバチで弾いていました。
 コロロンさんによると、最近はモンゴルも都会のほうでは日本と変わらない暮らし方になっているらしく、ゲルに住む遊牧者も夏には決まった住まいに戻るようになっているそうです。コロロンさんは音楽学校で4年学び、日本に着てから4年たつとか。父親も日本の歴史に興味があり、本人も将来は日本に定住したいらしいです。
 素敵な演奏だったのですが、もったいなかったのは、コロロンさんの唄が1曲しか演奏されなかったこと。素敵な歌声だったので、もっと聴きたいと思いました。

 ここで30分の休憩が挟まれ、舞台は第2部へと移ります。

 第2部のトップバッターはパーカッションの村木“ミノリート”稔さん。帯広から来た方で、パーカッションを始めてまだ1年。シャイな方で、地元では本名を隠すために“ミノリート”とだけ名乗っているそうです。
 ミノリートさんは、ボンゴ(小さいほう)とコンガ(大きいほう)の違いを一生懸命説明してくださいました。これらの楽器の発祥の地であるキューバは大変よい国で、一度行ってみたいとの事。ひとしきりそうしたことを喋った後、軽く1、2曲演奏してくださいましたが、始めて1年とは思えない腕前でした。

 第2部、第2の出演者はアイルランド音楽の反射神経研究会。本来は4人のメンバーで活動しているそうですが、その日は仕事の都合でメンバー2人が参戦できず、フィドルとハンマーダルシマーだけがやってきました。
 ハンマーダルシマーは58弦もある独特の形状をした楽器で、元はペルシヤのほうで発明されたものが200年ほど前にアイルランドに伝わり、今ではアメリカのアイルランド移民の間で盛んに演奏されているそうです。
 どこか懐かしい、陽気でちょっともの悲しい音楽に、不覚にも少し涙しそうになりました。

 第2部、第3の出演者はこのお寺の住職と副住職です。フィドル、ハンマーダルシマー、鍵盤ハーモニカに木魚と読経が加わり、一種独特の音楽世界を構築していました。

 最後に、その日の出演者全員が集合して、大合奏を行い、演奏会は盛況のうちに幕を閉じました。セットリストを入手できなかったの残念ですが、私も大いに楽しんで、その日の帰途につきました。