誤爆回避について

キーワードの誤爆回避のために奔走しておられる方々がごく少数いらっしゃるようですが,それって私たち一般ユーザーにとって何か意味があるのでしょうか? どうも,こうした活動に努力しておられる方は,何かを根本的に勘違いされているのではないかと思います.


はてなダイアリーには自動リンク機能があります.これは,キーワード登録されている単語がダイアリー内にあった場合,キーワードの説明ページへのリンクが自動的に作られるというものです.

期待と違う自動リンクを作られてしまったはてなダイアリーユーザーは,「リンク不要」に投票すれば,それ以降,期待はずれの自動リンクを作られることは無くなります.つまり,キーワードの誤爆回避のために奔走しておられる方々は,こうしたはてなダイアリーユーザーの負担を軽減するために活動しているのです.

さて,キーワードには「スコア」というものがあり,これははてなダイアリーユーザーの投票で決まっているのですが,ほとんどのキーワードでは,投票総数が1ケタ.多いものでも100以上の票を集めていることはまずありません.

つまり,ほとんどのはてなダイアリーユーザーは,自動リンクなんかどうだっていいんです.期待通りに自動リンクされていても「リンク可」に投票しないし,期待はずれ,つまり誤爆であった場合でも「リンク不要」にわざわざ投票したりしていないんです.

こうした現状で,キーワードの誤爆回避のために活動することに,いったいどういう意味があるのでしょうか?

さて,次に,こうした活動の不健全な側面に目を向けてみましょう.

いわゆる「誤爆回避」はキーワードの削除,誤認識されやすいキーワードの登録,誤認識されにくいキーワードへの見出し変更,の組み合わせで行われます.

こうした手段を使って誤爆を回避すると,様々な問題が起こります.

まず,キーワードの削除によってキーワードについての有益な情報が失われる可能性があります.百科事典的に有益な知識が書かれているページが,ある日突然削除されてしまうのです.

次に,誤認識されやすいキーワードが登録されることで,有益な知識が全く書かれていないキーワードの説明ページができてしまいます.自動リンクをたどった先が白紙,あるいは,「ステラ:『誤爆回避』」のようないい加減な説明だけだったら,リンクをたどった閲覧者はがっかりしてしまうことでしょう.

そして,誤認識されにくいキーワードへ見出し変更ですが,その前に少しこのことについて説明しましょう.これは,誤認識されやすいキーワード(例えば,10の12乗をあらわすテラ)の前後にカッコ記号を加えたりすることで(この例だと「テラ」),誤認識を避けるものです.お気づきでしょうが,このような変更を加えると,キーワードへの自動リンク機能そのものが全く機能しなくなってしまいます.例の場合,「1テラワット」という部分を見て,「テラワットって何だろう?」と思った閲覧者が,テラというキーワードの説明にたどり着けなくなってしまうのです.

もちろん,キーワードの誤爆回避のために奔走しておられる有志はこうした副作用のことをご存知だと思います.私は,有志のみなさんに,ほとんどのユーザがあまり自動リンクの誤認識に関心を持っていないのではないかということを改めて指摘したいのです.そして,副作用と効果の適切なトレードオフがなされていることこそが,単なる自己満足と意味あるボランティアを区別する最も重要な要素だということを一部の行き過ぎた方々に思い出して欲しいのです.